俳優とは別れの多い職業だと思う。舞台や映画の現場に入るたびに新しい出会いと別れがくる。それは人間相手だけではなく、役に対しても同じだ。例えば舞台では、1ヶ月間どんなに一生懸命向き合っても本番が終わったら必ず別れがくる。そういうものだと思ってるし、だからこそ一つ一つの役にしっかりと向き合わないといけないと考えてる。
「渋谷行進曲」の撮影が終わった時もテルミンとの別れを感じました。勿論、公開はこれからだから、まだまだ作品には関わっていくのですが、もう2度とテルミンを演じることはないと思ってました。
この作品を通して、テルミンという人間を通して、僕はとても沢山の経験をさせてもらいました。
元々僕はとても頭でっかちな俳優だったと思います(笑)
この台詞はどんな気持ちで言ってるかこの台詞を言われた時はどんな感情になるか
全てを台本から読み取ろうとしてました。
勿論台本から読み取ることはとても大切なのですが、そこに重きを置くあまり実際の現場で起きる事にリアルに反応出来てなかったと思います。
「演じるな、存在しろ」
「渋谷行進曲」の監督、秋山さんから教わった事です。この現場で、僕は監督から殆ど演出は受けませんでした。それは僕だけではなく他の共演者の皆さんもそうだったと思います。
自由だからこそ感じることがある自由だからこそ見えたものがある
たしかに存在してた登場人物達の中で、テルミンも存在していたと思います。この作品を通して、テルミンという人間を通して僕は新しいものを発見する事が出来ました。
本当に秋山さんとテルミンには感謝しかありません。
そしてテルミンとの別れ。
しかし「渋谷行進曲」の撮影が終わり数週間後、秋山さんから連絡が来ました。
「テルミンでJACO10の企画やってみない?」
「渋谷行進曲」で別れたテルミンとの再会。明日はテルミンJACO10で復活するってよ編をお送りします!
吉木遼